最高裁判所第三小法廷 昭和38年(あ)2405号 決定 1968年7月16日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人横溝光暉の上告趣意第一および弁護人小野清一郎の上告趣意のうち判例違反を主張する点は、引用の各判例は、いずれも本件と事案を異にして適切でないから、所論はその前提を欠き、適法な上告理由とならない。
弁護人鵜沢勝義の上告趣意および弁護人小野清一郎の上告趣意のうち憲法三一条違反を主張する点は、実質は単なる法令違反の主張であって、適法な上告理由にあたらない。
弁護人横溝光暉および同小野清一郎のその余の上告趣意ならびに弁護人木内曽益の上告趣意は、いずれも、事実誤認、単なる法令違反の主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない(一般乗合旅客自動車運送事業を営む被告会社が、旧道路運送法〔昭和二二年法律第一九一号、以下旧法という。〕により認可を受けた事業計画の一部である運転系統を延長して運行した行為は、たとえ右延長部分の運送につき運賃を収受した事実はなくても、従前の運転系統の終起点において、原判決のいういわゆる終点扱いをしかった以上、有償の運送事業における事業計画の変更として、旧法下のみならず、昭和三一年法律第一六八号による改正前の新道路運送法〔昭和二六年法律第一八三号、以下新法という。〕の下においても、運輸大臣の認可を要する行為にあたるとした原判断、ならびに新法施行期日の前後にまたがって行なわれた右行為は、全体として一罪を構成し、旧法廃止の日から本件公訴提起の時までに三年を経過していても、右旧法時の行為につき公訴時効が完成することなく、右行為全部について新法が適用されるとした原判断は、いずれも相当である。)。
よって、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 下村三郎 裁判官 松本正雄 裁判官 飯村義美)